サロメ

ドレスデン国立歌劇場、3演目目。今日のプロダクトが、全演目中一番素晴らしいんじゃないかしら。演出の密度、歌手陣の質とコンディション、指揮、オーケストラの集中力、美音。こうやって比べると、タンホイザーなんか随分とすかすかだったんだなぁ。すっかり色褪せてしまった。
と、思ったのも、タンホイザーに出演していたアラン・タイタスにカミッラ・ニールンド共に、別人のように素晴らしい歌だったからだ。まぁ11/13は両者とも代役だったからなぁ…
舞台はプールを思わせる抽象舞台。洗礼者ヨカナーンは既にプールサイドに佇んでいる。境界線を越えた、社会の中で異質な存在という構図が、ビジュアルだけでよくわかる。サロメカルメンのような妖艶さはなく、ひたすらに無垢で奔放な、子ども特有のまっすぐな変態性で境界線を乗り越え、ヨナカーンを殺す。もっと現代的な問題を暗喩してたんだろうけど、自分はそこが印象に残った。
ヴォルフガング・シュミット、今回は翻弄される義父として、少々滑稽な(斜めの舞台をごろごろ転がったり)役どころだったが、きらきらのヘルデン気質溢れる音色は隠せない。是非、あなたでタンホイザーを聴きたかった。