ばらの騎士

ドレスデン国立歌劇場、2演目目。主要4キャストともレベルが高く、非常に楽しめた舞台だった。「光」が美しく描かれた、印象的な演出も○。
オックス男爵のクルト・リドル。いやらしくて憎たらしい男爵を芸達者に演じ、舞台を牽引していた。好みの声ではないが、素晴らしい歌唱。
唯一の日本人、ゾフィー森麻季。外国の歌劇場と共演するのを見て、彼女の能力の高さを改めて思い知る。声やディクション、他のキャストに全く引けをとらない。むしろ彼女の外見が生きた、非常にキュートなゾフィーを演じていた。
今日のMVP、元帥夫人役アンネ・アンネシュヴィルムス(本キャスのアンゲラ・デノケはインフルエンザで降板。代役のアンネはタンホイザーエリザベートだったが、こっちはアンネが降板で、代役がニールンド。と今回のキャスティングは非常に錯綜している)。気品と哀愁、それにセクシーさを持った歌と演技。はまり役。終幕、ゾフィーにオクタヴィアンを譲る元帥夫人。そして二人の若いカップルの小さな二重唱への移行、深いカタルシスに感涙ものでした。

美しく一見享楽的な音楽に潜む虚しさ、まるで元帥夫人の葛藤そのもの。そのエロスとタナトスの陰影を強く強調した演出に思えた。。まぁ、美しすぎて冗長な音楽には「シュトラウス、空気読めよ」と思ったりもしたけど…